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保育士なら知っておくべき!保育士の離職率

離職率

かつては憧れの職業として人気のあった保育士ですが、今では低賃金・過重労働、離職率も高い職業として知られています。厚生労働省による社会福祉等調査から、過去1年間における保育所常勤保育士数、採用者数、離職者数と、離職率も併せて算出してみました。

  平成24年 平成25年 平成26年
常勤保育士者数 317,646人 320,196人 328,151人
採用者数 50,625人 48,733人 46,285人
退職者数 32,200人 32,823人 32,406人
離職率 10.2% 10.3%  9.9%

離職率は10%前後を推移しており、毎年10人に1人のペースで保育士が退職してしまうという状況であることがわかります。

保育士の離職率と他業種との比較

保育士と共通している点で、国家資格であり、多くの女性が活躍している職業に看護師が挙げられます。ここでは、保育士と看護師の離職率などについて比較してみましょう。

  平成24年 平成25年 平成26年
保育士 10.2% 10.3% 9.9%
看護師 11.0% 11.0%  11.0%

(出典:病床規模別看護職員離職率(常勤看護職員)病院における看護職員需給状況調査)

看護師の離職率は、11.0%と横ばい状態が続いており、保育士の離職率と比較するとやや上回っていることがわかります。しかし、看護師の離職理由をみてみると「出産・育児のため(22.1%)」が一番多く、「その他(19.7%)」「結婚(17.7%)」と自分自身の結婚・出産・育児を理由に退職する方が多く、保育士は「妊娠・出産(25.7%)」「給料が安い(25.5%)」がほぼ同率で、次いで「職場の人間関係(20.6%)」と続いています。

看護師退職理由(看護職員として退職経験のある者の退職理由 看護職員の現状と推移)

保育士退職理由(退職理由/過去保育士就業経験者の実態 東京都保育士実態調査報告書)

また、保育士と看護師の平均年齢と勤続年数、給与額を比較してみると、平均年齢と勤続年数はほぼ変わらないのですが、給与額は月額で10万円以上、年間にすると約135万円もの差があることがわかりました。

(出典:保育士の平均賃金等について 保育士等に関する関係資料)

保育士の人手不足

平成27年12月、厚生労働省による保育士の配置基準に関する緩和策が取りまとめられました。深刻な保育士不足を受け、本格的な運用を前に国の緊急対策案として「保育士の確保が難しい地域」に限定し、すでに基準緩和が認められています。

その内容は、最低でも1施設あたり2人以上の保育士を配置することになっていますが、これを緩和し、朝夕の子どもが少ない時間帯には1人が保育資格者であれば、もう1人は無資格者でも対応可能とした「朝夕の保育士配置要件の弾力化」、

幼稚園教諭(3~5歳児)、小学校教諭(5歳児)、養護教諭(全年齢対象)でも子育て研修などを修了した後、保育士資格がなくても子どもの世話ができるようになる「多様な担い手の確保」、

保育士養成施設に入学したものを対象に、修学資金の貸し付けを行う「保育士資格取得支援」などです。

しかし、保育所などで働いている保育士約43万人に対し、潜在保育士の数は約76万人(厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課調べ)もおり、保育士職を希望しない理由は「賃金が希望と合わない(47.5%)」「責任の重さ・事故への不安(40.0%)」が多く、「希望しない理由が解消した場合に就業を希望する」とした者は63.6%とおよそ3分の2が占めています。(出典:保育士資格を有しながら保育士として就職を希望しない求職者に対する意識調査(職業安定局実施))

朝の受け入れ時の煩雑な時間帯・一日の中で最も事故が多い夕方の時間帯に保育者1人と補助の職員だけでは、保育士の責任の重さ・事故への不安が増すこと、専門性の異なる幼稚園教諭、小学校教諭などが一括りにされて保育に携わること、幼稚園教諭・小学校教諭に比べてはるかに低い平均年収である保育の仕事をあえて希望する教諭がいるのか、年収の低い給与である保育士として働くことを条件に行われる修学資金の貸し付けは本当に支援につながるのかなど、政府が取りまとめたプランに疑問を持つ声は多いのです。

保育士が不足しているから他の専門職の人材を引っ張ってくるのではなく、保育士が離職していく原因(低賃金、責任の重さなど)を解決しなければ、今後も保育士の離職率は高いままでしょう。

離職率の高い職場の特徴

今や社会問題にまで発展した保育士不足問題ですが、保育士の退職が後を絶たない離職率の高い職場にはどのような特徴があるのでしょうか。

▷給与が少ない
やはり現役の保育士のみならず、潜在保育士が離職した理由として挙げる方も多い「給与の少なさ」。保育士資格を持つ人(非・潜在保育士を含む)を対象とした調査では、「給与は勤務内容と比べてやや安い・かなり安い」と答えた人は52.2%でした。(出典:平成23年度 保育士の再就職支援に関する報告書 データ集)

職場によっては残業分の賃金を払ってくれない、そもそも基本給が少ないというところも。給与面が低すぎて実家から独立できない、仕事の評価が反映される職場を求めて離職を選んだという方が多いようです。

▷賃金に見合わない業務量
日中は子ども達と共に過ごすことがメインの仕事である保育士。とはいえ、子どもと接している時でも子どもの気持ちを汲み取りながら適切な言葉がけや援助、遊びの展開、子ども同士のやり取りに関わっています。

子どもたちが昼寝の時間帯には掃除や消毒、会議や連絡帳などの記入、10分ごとの呼吸チェック(SIDS予防)などを行います。

勤務後や帰宅後には日中にはできない保育日誌や日案などの書類作成、行事前には衣装や背景の作成と、こなさなければならない仕事は山ほどあります。

そのほとんどがサービス残業で行われることが多く、行事が行われる休日は休日返上となります。そのため、プライベートが犠牲になっている、休みの日も休めないと離職する保育士が多いのです。

▷人間関係
圧倒的に女性の多い職場である保育園では、仲の良い保育士同士でグループを作ったり、派閥が生まれやすくなってしまいます。意見の相違や性格の不一致から、悪口や対立が生じてしまい人間関係がこじれてしまうことも。

また、主任、園長といった上司が感情的な方だと、理不尽なことで怒鳴られたり、自分とは合わない指導方針の押し付けによりうんざりしてしまうこともあります。

1つの考え方として納得できるものであれば良いのですが、自分のやり方を押し付けてくるのにこちら側の意見には全く耳をかさない態度だと、これから先も我慢し続けていく毎日が想像できて辟易してしまいます。

更に、職場の人間関係に加えて保護者との人間関係で悩む方も多く、さまざまな意見や要求に対応する難しさを感じる保育士も多いのです。

離職率の低い職場の特徴

それでは反対に、離職率の低い職場の特徴を見てみましょう。

▷休暇制度が整っている
保育園で働く保育士のほとんどはクラス担任を担っており、複数担任ではない限り、なかなか思うように休みが取れないものです。

その中で休暇制度がしっかりしている保育園は、担任保育士が休む場合を想定してしっかりと他の職員で通常通りの保育ができるような環境が整えられています。そのため、保育士も休みが希望しやすく、働く時と休む時のメリハリが効きます。しっかり休んだら精神的にもリフレッシュすることができるので、気持ちにも余裕が生まれます。

▷教育・研修制度がある
勤務年数2年未満の離職率が14.9%(出典:厚生労働省 保育士等に関する資料)と高い保育士ですが、新卒保育士が受けるリアリティショックへの対応の仕方をはじめ、保護者への対応、保育の技能面、アレルギー対応などの教育・研修が充実している職場は人を育てる環境にあるため、職場としてもメリットが多いものです

人材育成やサポート体制が整っていれば、職員それぞれの不安・不満を解消すると共に技術面の向上や職員全体の共通認識を深め、結果的に保育の質を高めてくれます。保育士としてもやりがいを感じられるため、定着率が良くなります。

▷業務量が分散されている
保育士の仕事量は多く、保育以外の掃除やおもちゃの消毒、衣装や背景などの作成、おやつや備品などの買い出しなどは勤務終了後や帰宅後、休みの日に行っている人がほとんどです。そのため、業務量を分散し、残業や帰宅後の仕事量を軽減するような対策を取る職場は、保育士の負担を減らし、休む時にはしっかり休めるように工夫されているため離職率が低くなる傾向にあります。

人気保育園の求人情報

平成27年10月の有効求人倍率は1.93倍(出典:保育等に関する関係資料)と高い水準となっており、今後も例年より高い水準となることが見込まれています。言い換えれば、保育士の求人はたくさんあるため、転職を考える方にとっては希望の条件で選べる立場にあるということです。

そんな保育士の求人の中でも、好条件で人気の優良求人は存在します。ただ、一般の求人と同じように公開してしまうと求職者が殺到してしまう恐れがあるため、非公開求人として取り扱われることが多いのです。

非公開求人を探すためには、保育士に特化した保育士専門の転職サイトを利用し、転職コンサルタントに紹介してもらうことが一番確実で近道です。

保育士専門サイトで非公開求人を取り扱う理由としては、求人を出す側としても信頼できるサイトにだけ絞って情報を公開し、応募者を限定して選考することで手間が省けるというメリットがあります。そのため、転職サイトを運営する企業の信頼度やネットワークの強さが優良な非公開求人の質や量に影響していきます。

まとめ求人に溢れた保育士は選べる職場が多いということ

慢性的な保育士不足のため、有効求人倍率は高いままを維持しています。離職率の高い職場や離職率の低い職場の特徴もご紹介しましたが、これらの情報は転職を考える際のチェック項目とすることで、保育士が働く中で抱きやすい悩みを避けるポイントとなります。また、転職サイトを活用することで、より条件の良い非公開求人から希望に合った求人を紹介してもらうことも可能です。登録は無料となっているところがほとんどなので、複数のサイトに登録し、併用しながら転職活動を行ってみるのも良いのではないでしょうか?

・同じ国家資格の保育士と看護師の月額給与差は10万円以上
・政府の緩和策では保育士の負担が増えていく
・離職率の高い職場は給与が安い、業務量が多い、人間関係が悪い
・離職率の低い職場は休暇が取れる、教育・研修制度がある、業務量を分散している
・人気の優良求人は非公開求人として転職サイトで紹介してもらうのが確実