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保育士の仕事内容(施設別)と転職・求職情報

施設別の仕事内容

厚生労働省が取りまとめた保育士確保プランによると、待機児童の解消に向けて保育士の存在は必要不可欠とし、平成29年度末までに「6.9万人」の不足保育士を確保することを目指していることから、保育士の需要は依然、高いままだと言えます。

保育士になるためには保育士養成施設を卒業するか保育士試験に合格しなければいけませんが、平成25年の保育士資格取得者の内訳は保育士養成施設の卒業者が8~9割、保育士試験合格者が1~2割となっています。

保育士養成施設:卒業者数4万5150人/資格取得者数3万9456人(卒業者の87.3%)

保育士試験:受験者数5万1055人/合格者8905人(受験者の17.4%)

保育士資格取得者数:4万8361人

(出典:保育士試験・養成課程関係資料 保育士となる資格取得者の年度別推移)

保育士資格取得者数4万8361人の割合は81.6%が保育士養成施設卒業者、18.4%が保育士試験合格者で構成されていることがわかります。

保育士養成施設を卒業し新卒で働き始める人が多い中、保育士はどのような仕事内容や役割があるのでしょうか?1日のスケジュールや、気になる保育士の年収についてもご紹介していきます。

保育士の主な仕事内容と役割

保育士の仕事は多岐にわたります。ここでは基本的な仕事内容についてご紹介します。

▷子どもの身の回りの世話
整えられた環境の中で、子どもの健康状態を確認しながら子どもの気持ちを汲み取り、欲求を適切に満たしていきます。一人一人の生活リズムや月齢、発達に応じた配慮をしながら、健康に安全で情緒の安定した生活が送れるようにしていきます。

▷日常生活に必要な基本的生活習慣を身に付けさせる
心身ともに健全な社会生活を行う上で欠かせない基本的生活習慣を身に付けていきます。具体的には、食事・睡眠・排泄・清潔・衣類の着脱の5つで、就学前の乳児期に身につけることが重要とされています。

▷生活や遊びを通して社会性や心身の健やかな発達を促していく
子どもは遊びを通して思考力や想像力を養い、充実感や達成感、葛藤や衝突を繰り返しながら他者との関わり方を学んでいきます。

保育士は子どもの月齢や発達段階に応じた遊びが、子どもの健全な発達を促すよう指導計画案(日案・週案・月案)や年間カリキュラムを作成します。指導計画案には、遊びについてのねらいや、予想される子どもの動き、それに対する保育士の援助や必要な道具などを具体的に記載し、日々の遊びの中で実践しています。

▷保護者への1日の報告とアドバイス、サポートを行う
子どもの様子を連絡帳に記入して報告します。その日の印象的な出来事の他、体温や食事量、排泄の有無などです。子育てに関する相談があればアドバイスやサポートも行っていきます。

▷地域の子育て支援
保育園に通っていなくても、地域の子育て中の親子が集まり、子育てを共に学び、共に相談しあえる場の提供を行っています。育児相談や必要に応じたサポートなども行います。

保育士の1日のスケジュール

保育所によっては24時間体制や夜間保育を行っているところもありますが、ここでは一般的な保育園での保育士のスケジュールをご紹介します。

出勤   開錠・掃除・換気など、保育環境を整える
7:00 早朝保育 園児の受け入れ(視診・触診)
検温、おむつやトイレの確認、水分補給など
9:00 登園 朝の会、体操
9:30 おやつ

食事の援助、アレルギー児への対応、片付け

10:00 遊び 季節に応じた遊び、室内遊び、戸外遊び、散歩など
11:30 昼食 食事の援助、アレルギー児への対応
12:00 午睡 寝かしつけ(SIDSチェック)
食器類の片付け、掃除、洗濯、連絡ノートの記入、午後の着替えの用意、職員ミーティング、消耗品の買い出し、おもちゃの消毒など
15:20 遊び  
16:00 帰りの会 降園
19:00 退勤  片付け、戸締り

 

保育士が働く職場と役割

保育士が活躍できる場所は保育園だけではありません。保育士を必要としている施設と、その施設での保育士の役割についていくつかご紹介します。

▷乳児院
保護者からの虐待や経済的な理由などにより、保護者と一緒に暮らすことができない1歳未満の乳児を養育する施設です。

乳児のいる家庭と同じようにミルクを与え、お風呂に入れたりと、24時間365日体制で母親代わりの役割をローテーションで行います。また、遺棄された乳児の場合は戸籍関係の手続きを行ったり、里親との調整なども行います。

▷児童養護施設
なんらかの理由により、家庭での生活ができない・家庭がない乳児以外の20歳までの児童が入所しており、保育士は親のような役割で子どもと生活を共にします。保育士はその中でも6歳未満の子ども達のケアをしていきます。

日常生活内での保育や遊びの提供のほか、24時間体制で子どもたちと関わっていきます。中には、虐待などで心に傷を持った子や親のいない淋しさを募らせている子も多いため心理カウンセラーや医者なども配置されてはいますが、一緒に生活を送る中で気づいた変化や気になる点など、保育士と専門員の連携も大切な仕事の一つになります。

▷母子生活支援施設
18歳未満の児童を養育している母子家庭が、経済的な理由などから養育が困難な場合、入所、一時入所、相談を行い、自立に向けた支援を行う施設です。保育士の仕事は入所している児童の保育や生活指導などを行います。母親が働いている場合は、保育園や学校への送迎、学習指導を行い、母親に対する育児相談や就労サポートを行うこともあります。

▷知的障害児入所施設

主に知能指数が70以下の知的障害のある18歳未満の児童を入所させ、自立させるための学習を行うための施設です。保育士は、基本的生活習慣の習得を指導したり、食事や排泄のサポートを行います。また、他者とのコミュニケーションや集団行動を遊びや学びの中で学び、社会的自立に近づくことができるように、社会福祉士やヘルパーなどの職員と連携しながら支援していきます。

保育士の年収・給与・賞与   

気になる保育士の賃金についても見ていきましょう。

年齢 35歳
勤続年数 7.6年
月額給与 21万9200円
年間賞与 60万3000円  
平均年収 323万3400円

出典:平成27年 賃金構造基本統計調査

※平均年収は「きまって支給される現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」より算出

※現金給与額には基本給の他、諸手当、時間外勤務、休日出勤等超過労働給与も含む。

国や市町村が経営母体となっている公立保育施設で働く場合、地方公務員としての待遇を受けることができます。

勤続年数が長くなるにつれて給料は順当に上がっていきますし、産休や育休も保証されているため安定して長く働く保育士も多く人気がありますが、保育士資格の他に公務員試験にも合格しなければいけません。転勤があることも特徴の一つです。

一方、社会福祉法人やNPOが経営母体の私立保育施設で働く場合には、経営状態によって給与や賞与が決まるため、公立の保育施設に比べて安定しているとは言えません。

離職率も公立保育施設に比べると高くなっていますが、私立保育施設ごとにさまざまな特色を持っており、情操教育に力を入れている園、少人数でアットホームな園など、自分の希望に合った保育園であればやりがいも増し、転勤がない分、長く務めることも可能です。

保育士を取り巻く環境と将来性

低賃金、過重労働、サービス残業の多さが叫ばれる保育士の仕事ですが、平成27年10月における保育士の有効求人倍率は1.93倍、全国で最も保育士の有効求人倍率が高い東京では同時期に5.39倍となり、深刻な保育士不足が伺えます。(参考:一般職業紹介状況 職業安定業務統計/職業安定局)

政府は待機児童解消のため、平成29年度末までに不足する保育士6.9万人の確保を目指し、

保育士の処遇改善や職場の環境改善、これから保育士になろうとする学生のための学習費用の支援や就職促進の支援などを行う他、保育士資格を持っているのにも関わらず保育の仕事に就いていない潜在保育士約76万人の再就職・再雇用を目指し、人材育成や研修等の再就職支援にも取り組み始めています。

今後、保育士を取り巻く環境が改善されていき、これまで保育職から離れていた潜在保育士やこれから保育士を目指す学生の就業率が上がっていくと共に、短時間正社員制度の導入など、働き方も多様化していくものと予測されます。

保育士の転職・求人情報に関して

有効求人倍率でもわかる通り、保育士は都市部を中心に需要が高くなっており、求人は1月をピークに年間を通して比較的多く出回っています。

求人情報誌やフリーペーパーは比較的容易に手に入れることができますが、基本的な条件が記載されているだけなのでどのような特徴の保育園か、職場の雰囲気などの情報を得ることは難しいのです。また、面接日時の調整も自分で行う必要があるため、複数の保育園で迷っている場合には日数も手間も掛かってしまいます。

ハローワークの場合、1人につき1日の紹介件数に制限があることや求人情報閲覧時間に制限があったり、他の利用者を含めた待ち時間があるためどうしても時間が取られてしまいます。

最近では、在職中でも24時間いつでも利用することができる転職サイトを利用して情報を得る方が多いようです。勤務地や勤務時間、保育園の特徴などの希望条件を絞って検索することが可能なので、たくさんの案件の中から効率よく探すことが可能です。

また、転職にあたってのお役立ち情報や履歴書、職務経歴書の書き方などを伝えるコラムや、適性診断などが気軽にできるなどの特徴をもつ転職サイトもあります。

転職活動を始める際にはどのような求職活動が自分に適しているかを考慮し、求人誌+ハローワーク+転職サイト、フリーペーパー+転職サイトなどと組み合わせて探してみるのも良いでしょう。

まとめ子どものため、日本のために保育士の労働環境改善を!

待機児童問題の解決には保育士の存在は必要不可欠であり、子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期を過ごす保育所において、保育士には倫理観に裏付けられた専門的知識・技術・判断が必要とされます。

その上で保育士の仕事内容は多岐にわたり、子どもの日常保育や行事の他、延長・早朝・祝日・夜間保育、病児・病後児保育、保護者や地域への育児サポートなどと、保育ニーズはますます多様化し、保育士にもそれらの対応が求められています。

政府は有識者と共に検討会を重ねながら、保育士の処遇改善、業務量の分散、休暇を取りやすくするなどのさまざまなプランを打ち出していますが、まだまだ始まったばかりです。

今後、働く保育士が長く続けられる環境、転職者が安心して働き始められるための研修など、保育士を取り巻く環境が改善しなければ待機児童は減ることがなく、子どもを預けることができない保護者にとっては社会での活躍の機会が奪われてしまうことになるでしょう。多くの保護者が社会で活躍するためにも、保育士の労働環境は改善されなければいけないのです。

・保育士の仕事は子どもの世話から地域支援まで多岐に渡る
・休むヒマがないほど忙しい保育士の仕事
・乳児院や児童養護施設等、保育士が働く職場は保育園だけじゃない
・保育士の月額平均給与は21万9200円
・政府による処遇改善、学習費用支援などで就業率アップを期待したい
・求人情報は転職サイトの活用が効率よく探せる