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徹底調査!保育士の転職理由トップ10

転職理由

保育士の仕事はとてもやりがいのある仕事であると共に、さまざまな理由から離職する人が多いのも事実です。厚生労働省統計情報部による「平成25年の社会福祉施設等調査」では常勤保育士就職者4.9万人に対して、離職した保育士の数は3.3万人であることがわかりました。

この離職者の中には、保育士という仕事から全く別の業種に転職する人もいれば、保育士として別の保育施設に転職する人も含まれています。

せっかく保育士資格を取得して就職したにも関わらず、このように離職者・転職者が多いのは一体どうしてなのでしょうか?保育士として勤めている人は何を求めて転職をするのか、その理由についてご紹介します。

保育士の転職理由トップ10

自ら選んだ職業ではありますが保育士の転職率は高い傾向にあります。働いていく中で何が保育士の負担になっているのでしょうか?

1位 責任の重さ・事故への不安 43.4%
2位 年収・給与 35.3%
3位 勤務時間 26.4%
4位 職場の人間関係 22.5%
5位 雇用形態 14.2%
6位 将来への展望が見えない(昇進・昇給) 12.9%
7位 パソコン操作についていけない 9.6%
8位 年度の途中での長期休暇・退職ができない 7.8%
9位 理念・方針への不満 7.5%
10位 教育・研修体制に不満 5.1%

(出典:株式会社ポピンズ 保育園就業中の悩みについて 平成23年度保育士の再就職支援に関する報告書データ集)

子どもの命を預かるという保育士の仕事の責任の重さ・事故への不安が約半数近くに挙がりました。次いで、給与、勤務時間という労働条件へと続いています。

転職理由ごとの原因と解決法

転職理由に挙がった内容は、どのようなことが原因で起こるのでしょうか?どのように改善していけば解決していけるのでしょうか?

転職理由1:責任の重さ・事故への不安

【原因】
自分で痛みや気持ちを訴えることのできない乳児、転倒しやすい歩き始めの時期や突発的な行動に出やすい乳幼児期、お友達との関わりの中で生じる噛みつきやひっかきなど、保育士は常に子どもたちの様子ややり取りに気を配りながら生活を共にしなければなりません。

その中で遊びや関わりを展開していく時には、さまざまな子どもの動きや気持ちの変化、それに対する援助の仕方を変えていかなければならず、気が休まることがありません。

【解決法】
ある程度の責任感と危険管理については常に念頭に置いておく必要がありますが、その負担を軽減するためには人員が必要です。

子どもの様子や行動についての認識を共有しながら、生活の中で死角となる場所を作らないなどの工夫が必要です。

また、アレルギー児への誤食予防、災害時や緊急時の対応など、いざという時のためにも研修を重ね、日頃から職員みんなで共通認識が持てるような環境を作っていかなければいけません。

転職理由2:年収・給与

【原因】
認可保育園の場合、公的な補助金と保育料で運営されています。補助金は税金から使われており、保育料は公定価格で決まっているため、事業者の判断で上げることが難しくなっています。

認可外保育園の場合には、保育料のみで運営されており、保育士の給料を上げるためといって保育料を毎年上げていくわけにもいきません。

【解決法】

厚生労働省によると、平成27年4月からスタートした子ども・子育て新制度において、民間保育士の給与が平均3%アップ、加えて平成26年度の公務員給与の見直しに準拠し、保育士の給与が平均2%改善されるようです。(出典:保育士確保 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/140131-1.html 厚生労働省)

しかし、保育士の給与は平均月収が約21万円と低く、5%の1万500円を上乗せしても22万500円にしかなりません。保育士を退職した方へのアンケートによると、給与が安いために復職したくないと答えた方が87.1%、更に給与が5万円アップしても復帰したくないと答えた方は76.4%にものぼりました。(出典:「5万円の給料アップでも復職したくない!」約8割<潜在保育士のホンネ> ほいくらいふ・弁護士ドットコム共同アンケート)

保育士の給与が大幅に改善されるというのは期待しにくく、休暇を取りやすくする、業務量の軽減などの労働形態の改善で負担を減らしつつ、給与に見合った業務量、仕事内容の工夫に取り組んでいる保育園を選ぶべきでしょう。

転職理由3:勤務時間

【原因】
保育士は業務量が多く、残業や持ち帰りの仕事が当たり前のようにあります。勤務時間中は子どもたちと接している時間のため、指導計画案などの事務作業や制作物、掲示物、行事用の衣装や背景の作成等は勤務時間外で行われています。また、休憩中も連絡ノートや業務誌などの記入に追われ、ゆっくり食事する暇もないところも少なくありません。

【解決法】

事務作業の効率化を図ります。パソコンでフォーマットを作成し、職員同士で内容を共有できるようにしておくと便利です。他にも、掃除や洗い物、おもちゃの消毒などの作業は外部に委託することで保育士の時間が空き、他の作業に手を回せます。

転職理由4:職場の人間関係

【原因】

保育士という仕事は、まだまだ女性が圧倒的に多い職業です。保育への考え方の違いなどから派閥を作ったり、悪口や陰口を言ったりと職場の人間関係で悩む人も多いのです。

【解決法】

施設長、園長、主任が日頃から相談しやすい雰囲気を意識して作っているか、中立な立場に立って物事を判断できる人物かであることはとても重要です。また、男性保育士が1人いるだけでも職場の雰囲気が柔らかくなり、離職率にも影響するそうです。(参考:男性保育士はもっと増えるべき理由、保育士の転職どっとこむ)

転職理由5:雇用形態

【原因】
正社員として働くことを希望していてもパート勤務しか雇っていない、逆に、パートタイムでの短時間勤務が希望なのに正社員しか雇っていないなど、希望の雇用形態に合わず転職をしてしまう方もいます。

【解決法】
園長に希望の働き方を伝えていても、園側のニーズにマッチしていなければ難しいところです。経営状態によっては、これ以上正社員を増やせないということもありますので、転職して希望に合った保育園で働くことが解決の近道です。

20代保育士に多い転職理由

20代の保育士は着々とキャリアを積んでいく人もいる一方で、保育方針の違いや勤務体制への不満などを理由に他の保育所へ、もしくは他業種への興味から転職する保育士も少なくありません。

20代半ばからは結婚・出産を理由に退職する保育士も増えていくため、転職希望先の保育園からは「就職後、すぐに辞められてしまわないか」という不安を抱かれることもあります。まだまだ先のことだからと安易に考えず、結婚後はどうするのか、出産後も同じ勤務形態で働き続けるのかなど、自分の将来設計は考えておきましょう。

30代保育士に多い転職理由

30代保育士の場合、結婚して家庭を築いている方も多く、家庭と子育てとのバランスを考えて転職する方が多くなります。

出産後のブランクを経て働く場合、旦那さんの理解と協力が得られるのか、家庭と子育てとのバランスは取れるのかをよく考えて勤務形態を決めていかなければいけません。

40代の保育士に多い転職理由

40代保育士の転職は、体力面での不安から大規模な保育園から小規模の保育園へと転職したり、自分の子育てが一段落したことにより保育園の仕事へ復職する方が多いのです。

一般職で考えると40代の転職はなかなか厳しいのですが、保育士の場合には、これまでの保育士としてのキャリアや子育て経験によっては転職時のアピールポイントにもなります。

体力面では若い子には負けてしまいますが、経験豊富な40代の保育士であれば保護者への対応でも説得力があり、不安を取り除いてあげることができます。

転職の際には自分の体力も考慮して、通勤時間や勤務時間が短く、無理なく働ける保育園や託児所を選ぶと良いでしょう。

まとめ【今ある悩みだけに着目して転職活動をしないこと】

・働く保育士の悩みの43.4%が「責任の重さ・事故への不安」
・保育士の悩み解決には人員の増員、業務量の軽減、作業の効率化がカギ
・20代保育士の転職は将来設計を考えておこう
・30代保育士の転職は家庭とのバランスを考えておこう
・40代保育士の転職は自分の体力を考えてムリなく働こう

働く女性が増え、保育ニーズの高まりと共に求められる保育サービスも多様化し、保育士の業務内容は増えていく一方です。これではより良い労働条件・労働環境を求めて多くの保育士が転職してしまうのも頷けます。

今後もし転職を考えるのであれば、単に給与が高いから、労働時間が短いからという理由だけでなく、人員は足りているのか?保育以外の業務に対して軽減されるように工夫がなされているか?連携・共通認識を確認できるような研修、教育制度はあるか?なども併せてチェックしてみましょう。

人手が足りていなければ、結果的に一人一人の業務量は増え、時間にも気持ちにも余裕がなければ人間関係はギスギスしていきます。研修や教育がなければ、保育に対する考え方や保育の質にバラつきが出て、派閥が起こりやすくなります。

今ある悩みを解決しても、また新たな悩みが生まれてしまわないようにあらゆる面から検討し、希望に合った保育園を絞っていくことが望ましいでしょう。