保育士を目指す人や、保育士資格を持つ人の多くが憧れる存在…それが公務員保育士です。各自治体の試験に合格し、保育園で働く公務員もいます。
公務員保育士は安定しており、将来性も抜群で辞職率もかなり低い良い職場です。
今回は公務員保育士の内情、どうすればなれるのかを紹介していきます。公務員なので試験を受ける年齢制限がありますが、それまでは何度でも受ける事が出来ます。
保育士が公務員として働くってどういうこと?
公務員保育士とは、保育士資格を有する、または保育士資格の取得見込みのある人が、各自治体の公務員保育士採用試験を受けて合格した人がなれる存在です。
しかし、ここでゴールではなく、公務員保育士は基本的に公立の施設全てが労働環境対象になるので、どこに配属されるかは分かりません。
施設から声がかかってようやく働けるのが公務員保育士なので、なかなか自分の思った場所には就職が叶わない場合があります。
公務員保育士が活躍する職場
基本的に上記にも書いたように、公務員保育士が活躍するのは公務員試験で合格した自治体の運営する施設が対象です。
その対象は、それぞれの自治体で全く違いますが、保育園から障害児施設まで幅広く働く可能性はあります。
ここでは試験に合格した公務員保育士がどんな職場で働けるのかを紹介していきます。合格した後にどんな職場に配属されるのかイメージを掴んでください。
・職場1:公立の保育園
公立保育園と言っても特に他の保育園と違いがある訳ではありません。
外遊び、室内遊び、食事援助、昼寝の見守り、おやつを与えて保護者のお迎えを待つなどが主な日中業務になります。
その他にも、子どもが降園した後は掃除や壁面制作や保育環境を整えるなどの業務も勿論あります。
ですから、普通の保育園勤務をした事のある人や、実習で体験した人はそれを想像していれば間違いありません。
・職場2:児童養護施設
保護者がどうしても養育できない、子どもと上手く関係を作れずに虐待・ネグレクトに走ってしまった保護者から子どもを保護する為にある施設です。
2歳まで乳児院や自宅で養育されてきた子どもを受け入れて、成人を迎える20歳まで養育を施します。
保育士の仕事としては、子ども達の生活援助や社会性を身に付けさせる事、子どもが暮らしやすい環境を作る事、保護者の代わりに行事に参加するなど、保育園勤務の保育士とは全く違う仕事内容となっています。施設内では日常生活の指導、社会に出た後の生活方法を教える、夜間の見回り、脱走が起これば捜索もあります。
・職場3:知的障害児施設
知的障害児施設も運営している自治体もあります。
知的障害児施設には、就学~高校卒業の18歳までの子ども達が集まり、児童養護施設と同じで保護者の事情があって養育できない、保護者が居ない場合に養育を行う施設です。
保育士の仕事も日常生活の援助に加え、子ども達の知的障害に合った声掛け、障害と上手く付き合える方法を模索し、卒業後の進路などを決めたりもします。
必要に応じて病院などへの通院にも付き添います。
・職場4:重度心身障害児施設
障害児施設の中でも、聞いた事すらない人もいるでしょう。重度心身障害児施設は、重度の精神や肢体の障害を持つ子ども達を養育する施設です。
殆どの場合が、何かあった場合にすぐ対応できるように病院に併設、または病院の一部に作られています。
重度心身障害児になると、自分で日常の動作をする事、そして学校に通う事すら難しいので、日常生活の援助、学校の先生が訪問してくださる受け入れや申し送り、保護者と子どもの関係性の構築に力を入れます。
保護者の中には、重度心身障害児に産んでしまったと酷く自分を責め、現実を受け入れられず子どもと距離を取ろうとしている人もいるので、親子の絆を結結び付ける業務が一番やり甲斐があり、難しい部分であるとも言えます。
公務員保育士の気になる給料と待遇とは?
一番気になるのは、保育士の待遇ですよね。公務員保育士の待遇は、普通の保育士とは全く違います。
まず、基本給から高く設定されています。そして嬉しい事に、決まりとして必ず毎年昇給してくれます。具体的な金額はそれぞれの自治体で違いますが、全国の平均としては、月収約21万円、年収は約310万と言われています。
これに加え、女性にとっては非常に嬉しい待遇ですが、産休・育休・復職がしやすいという点です。この産休・育休制度が保証されている事、労働環境が良い事で働ける限り働きたいと定年まで働く事を目指す人も多いです。
また、それぞれの自治体によって差はありますが、延長保育を行わない方針の園もあるので、勤務時間も安定しています。家庭を持ってもすぐに帰れるのが嬉しい所です。
仮に残票があったとしても、残業代がきっちりと出る所が魅力です。
公務員保育士として働くためのステップを解説
ここでは公務員保育士になるステップを紹介していきます。
まずは公務員試験を受ける所から始まります。国家公務員試験ではなく、各自治体の公務員保育士の採用試験を受けます。
大体7月から各自治体での募集が始まります。そして、9月に一次試験が行われます。
一次試験は教養と専門の試験が行われます。マークシート方式を取っていますが、自治体によっては作文などの課題が出る場合もあります。
合格すれば二次試験ですが、二次試験では実技試験と面接が行われます。保育士の場合はピアノの弾き語りが出来るか、基本的な運動能力の確認、そして面接で雰囲気を見られます。そしてそれにも合格すれば、三次試験に進む事が出来ます。
三次試験はない所もあるので、実質二次試験まで合格できればほぼ決まりと言っても過言ではありません。
そして、合格後は合格した自治体の中で経営されている公立の児童福祉施設から呼ばれるのを待ちます。呼ばれなかった場合は働く事が出来ません。
公務員ならではの人事異動
公務員保育士の悩みの種として言われているのが、この人事異動です。
保育士で転勤がある事の方が珍しいですが、公務員の保育士には転勤を命じられる事があります。
異動先は自治体内ですが、同じ仕事であるとは限りません。
県の保育士は数が限られていますし、辞めたり欠員が出たらそこを補わなければいけません。そこで、保育園で勤めていたのに、突然児童養護施設や障害児施設に転勤を命じられてしまう事もあります。
自分の希望は殆どの場合聞いて貰えません。全く知識のない職場へと飛ばされる可能性がある為、異動先でも適応できるようにしっかりと勉強に励む事が出来る人が向いていると言えます。
公務員保育士はメリットだらけ!間に合うなら目指してみよう【まとめ】
給与が安く、残業代も出ない、正社員登用のチャンスも少なく産休を取ろうものなら無言の圧力で退職を余儀なくされる…そんな劣悪な環境の私立保育所よりも、福利厚生が充実して、働けば働くだけ結果として給与に反映してくれる公務員保育士が良いです。
どこに転勤になるか分からないので、環境の変化に弱い人にとっては少しだけ辛いと感じるかもしれませんが、安定性で言えば保育士の仕事の中で一番です。
ですから、求人探しのポイントとして、必ず自治体の公務員募集を見て、公務員を受験してから普通の私立の保育園などを受けてください。
私立の保育園は人手不足なので、就職にあぶれる心配はありません。
しかし、公務員保育士は受験に年齢制限があるのでそちらを優先するべきです。